父の誕生日

もう鬼籍に入って3年7カ月、生きていれば89歳の誕生日です。
8月という月は広島・長崎に原爆が落とされ終戦の月でもあります。




父は陸軍士官学校57期生で、満州戦闘機の操縦の教官をしていました。

父が乗ってたのと同じ知覧に展示してありました。
父の教え子の名前が、特攻で散った方の中に何名もありました。




父は8月13日に飛行機の空輸中にエンジンの不調により、不時着、負傷したものの命に別条がなく、奉天の陸軍本部との連絡がつかなかったため15日独断で奉天へ帰り、そこで終戦を知りました。
終戦の勅命のために奉天に来られた竹田宮様の護衛で京城迄の任務飛行に従事した鎌田大尉以下三名の中尉、が奉天に帰ってこられました。
父は不在だったため、(その時は遭難して亡くなったと思われていました)、その任務を外され、シマッタと地団太を踏んで悔しがったものです。
活きて虜囚の辱めを受けるなかれと、終戦になったにも関わらずその四名の方は、四機の編隊を組みソ連軍の目の前で、其のまま急上昇、反転して壮烈な覚悟
自爆を敢行し、ソ連軍将兵の心胆を寒からしめたのです。
もし、父がその前の不時着が無ければ、一緒に自爆してたはずです。
その後父は、58期の学生90名を率いて鳳城飛行場への輸送指揮官に命じられ、奉天発の最後の列車で帰国の途に着きました。
上官は父も一緒に帰国させてあげたいとの思いで託したのに、内地への輸送船の確保を確認したうえで、学生達を某少佐に託して自分だけ奉天に引き返したのです。
この時「このまま一緒に帰国して下さい」と何度も懇請してくれた当時の学生長(恩師の金時計を頂いた首席の方です)に近年長府でお会いして、当時の話を聞く事が出来ました。素晴らしい方でした。
そしてソ連軍に投降しシベリアに連れて行かれたのです。
この時の事はこのように綴られています。
結果的には、シベリヤでの言語に絶する苦難の三年に亘る抑留生活を自ら求めた様なことにな
り、あらゆる意味に於いて、人生で最も充実すべき大切なこの三年間の喪失は惜しまれてならぬ所であり、火事場泥棒にも等し
いソ連軍の卑劣さには只々憤恨の極みではあるが、然し此の時に自分の選んだ行動と信念は俯仰天地に恥じざる正しい選択で
あったと自負し、自らを慰めて居る次第である。

シベリアでの話は一切話しませんでした、口にするのも嫌な、言いたくないことばかりだったのでしょう。
3年弱の拘束を解かれて東舞鶴に帰国したのが父26歳の誕生日の8月25日でした。
父の没後、生前よりも、この8月が何故か気になるようになり、終戦記念日というと心が騒ぎます。

昭和20年8月23日
、この日からスターリン下でシベリア抑留が始まったそうです。









この方たちの犠牲のもとに、今の日本の繁栄があるということ、肝に命じておきたいものです。

“父の誕生日” への4件のフィードバック

  1. シベリア抑留については、先日、Tsubakiでシベリア抑留経験者のお祖父さんと画家のお孫さんの「二人展」が開催され、それを見て考えさせられました。
    今まで戦争の話はたくさん聞いてきたつもりでも、シベリアの話って耳にしてなかった・・・
    簡単に語れるものではないことがわかりました。
    施設では、よく入居者のお年寄りが戦争のことなど話してくれていました。けど、戦争について語る方も、だんだん高齢になり減ってくるんでしょうね。

  2. tsubaki様
    こんにちわ~
    先日岡本荘で川田さんと千田さんの二人展の時、最終日に行こうと場所を調べたのですが馴染みのない所で、仕事が遅くなり、着いたとしても間に合わないかも・・・と断念しました。
    NHKでみて、ネットで調べて寒川の21世紀館にも足を運びましたが、それは1年前の企画だったそうで、見られませんでした。
    去年は舞鶴でもあったそうですが、そこまでは行けません。
    戦争の事を知らないのにお孫さんが一生懸命、なにかを訴えてくださるお姿には感動しますし、嬉しいです。
    忘れてはいけないことなんです。
    生の絵にはお目にかかれなかったけど、そのうちまた機会があれば・・・・と考えています。

  3. 先日まで、寒川町の香東園で展示をしてたと思います。
    次は・・・ベッセル大内の目の前の絹島荘で二人展の展示があるかも…
    ちょっと遠方ですが、予定がわかりましたら、またお知らせしますね
    (^^)v

  4. tsubaki様
    こんにちわ~
    いろいろと情報ありがとうございます。
    またよろしくお願いいたします。

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