高知大学医学部付属病院




その方は、約束の30分前に行ったとき、病院の玄関前で立って待っていてくれました。
お会いするのは初めてではありませんが、思わず引いてしまいました。
今まではサングラスをしていたので、あまり分からなかったのですが、今回はしていません。
戦争中、焼かれたのでしょう。(伯父も燃えさかる飛行機に乗っていて、上官を先に降ろしてから逃げたため、火傷で顔が変形してました)
正視するのが申し訳ないくらい、お顔も変わっていました。
おまけに右手に包帯して松葉杖をついてます。骨折です。
この日は歯医者さんの診察の日なので高知医大でお会いすることになりました。
陸軍士官学校のときの父の先輩です。
父が屋島病院に入院してた頃、何度もお見舞いに来てくださいました。
高知市内から外れた所の佐川町に住んでいます。
おそらく一日がかりだったろうと思われます。
父が亡くなった後も来てくださいました。
その後、目の手術をされたときに、こちらからはお見舞いに行けずずっと心苦しく思っていました。
ところが、先月喪中葉書が届きました。
たった一人の息子さん(独身)が亡くなられたということです。
奥さまは十数年前他界されてます。
お一人になってしまい、ヘルパーさんが面倒みてくれてます。
たまたま大阪から弟さんが来られていてその方が付き添われていました。
母とはいろんなことを夢中で話していました。
父は陸士で、700人中10番位の成績だったと、没後何年も経て知らされました。
心中をお察しすると、おかけする言葉も見つかりません。
外観よりはお声はしっかりして張りがあり、「元気になったらお墓参りに行きます」との力強いお言葉を頂戴しました。
満身創痍にもかかわらず、弱音を吐くこともなく、今だに軍人魂顕在のようにお見受けしました。
高知に来た最大の目的はこの方にお会いすることでした。
お目にかかれて本当によかったです。
これで一つ大きな仕事を終えました。
でもお別れした後、何とも言いようのない切なさを感じました。


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